わかりづらい自己愛性パーソナリティ障害-カバートナルシスト
- Aira-Life-Coaching
- 2024年10月14日
- 読了時間: 5分
更新日:3月7日

自己愛性パーソナリティ障害(NPD)には、いくつかのタイプがあります。主に、オバート(overt)、カバート(covert)、コミューナル(communal)、アンタゴニスティック(antagonistic)、マリグナント(malignant)があります。
この中でもカバートナルシストは、一見自己愛性パーソナリティ障害とはわかりづらい特徴があります。わかりやすいオバートタイプと比較しながら見ていきましょう。
オバートNPDとカバートNPDの違い
オバートはわかりやすい、いわゆる教科書通りのNPDの特徴をあらわします。自分の誇大性を示すために、自分の能力以上の言動でアピールしたり、ターゲットを貶めるため、罵り言葉をぶつけたり大声で怒鳴ったりします。
対してカバートは、内向的でシャイ、批判に傷つきやすい特徴があります。一見物腰も柔らかく人当たりも良く、大声を上げたりもしないし、自分の自慢話もあからさまにしないことが多いです。
しかし、自己の誇大性を示し、ターゲットを脱価値化しててコントロール下に置こうとするのは同じです。
ただ一見わかりにくいので、周囲の人がNPDだと気付くのが難しく、ターゲットが訴えても周囲の人が信じない、ということが顕著になりやすいです。そう言った意味ではオバートよりカバートタイプの方が、適切な対処が難しくなると言えます。
カバートNPDの特性と兆候
① 受動攻撃の多用
オバートNPDの人が、ターゲットに対して大きな声で恫喝したり責めたりする一方、カバートNPDの人は受動攻撃を多用します。
例えば、サイレントトリートメント。電話に出ない、ラインの返事をなかなか返さない、待ち合わせに遅れる、留守電を入れても折り返しがない。など。それなのに、あちらからの連絡にすぐ反応しないと不機嫌になる。表立って攻撃はしませんが、しばらく無視したりをします。
一見地味な行動ですが、これをやり続けられたターゲットは、徐々に精神的に不安定になります。どうしてラインの返事をすぐくれないのだろう、私の事は大事ではないのかな。どうして電話に出ないんだろう、今どこで何してるんだろう、誰か他の人と会ってるのではないだろうか。ずっと連絡がない、どうしたんだろう、無視されてるのかな、私のこと嫌いになったのかな。
とういうように、正にサイレントになる事でターゲットを不安にします。そしてターゲットが、もうだめだ、精神的に限界、というところまで不安定にさせた所で、何事もなかったように連絡してきます。優しい言葉をささやいてターゲットを安心させ、この人は相変わらず優しいし、冷たくされたと思ったのは私の気のしすぎだったんだな、とターゲットは自分に非を与えててしまいます。
これを繰り返される事により感情をジェットコースターのように激しくアップダウンさせられ、ターゲットは自己価値があやふやになります。自信が持てなくなり、自分の価値は全て相手が握っているような感覚になる。よって、自分の価値を認めてもらうためにますます相手に依存し、好かれようとし、ますますコントロール下に置かれます。
② 他者からどう見られるかを気にする
オバートNPDの人が、自分の誇大性をアピールするためにわかりやすく自分の自慢話をするのと対照的に、カバートNPDの人は、人からの褒め言葉を謙遜します。謙遜して見せる事で、更に称賛をもらうためです。これは謙虚なのではなく作戦です。
自分でひけらかすことなく、あからさまでなく人からほめられたり感謝される行動を取る事がコバートの人には重要なので、わざと自分の親切行為を“気付かれない体で” 他者に見せつけます。
そしてほめられると、謙遜したり、自分を、卑下したりして逆に賞賛を与えられることを求めています。
NPDの人は共感性が著しく低い特徴がありますが、カバートタイプは一見共感的な人に見えることごあります。けれどそれは自分が他者から認められること前提とした表面的な共感です。人を助けたり同情したりすることで、見返りとして自分を崇めたり誉めたりすることを渇望しています。
③不安感
NPDの人の誇大性は、実は非常に低い自己肯定感からきていますが、カバートタイプはこれが顕著です。自分が持つ理想の自己像と現実の自分のギャップから目を逸らすために、人と関わることを避けたり引きこもったりする傾向があります。
不安感が強いので他者と自分を常に比較します。成功したり幸せだったりする友人やパートナーに耐えられません。なので表面的にはお祝いの言葉を述べたりしても、心からの祝福ではなく、嫉妬と自己憐憫が隠されているのとが多いです。
ターゲットへの影響
カバートタイプでもオバートタイプと同様にターゲットに影響を与えます。自己肯定感が下がり自己決定ができなくなったり、自責や罪悪感などに苛まれたり、深い傷を残す可能性があります。
特にカバートタイプは、非常に巧妙なやり方で相手をコントロール下に置こうとしますので、気付くのが遅れる場合が多いです。
知識を得て自分のメンタルヘルスを守るために、適切な境界線を引きましょう。
NPDの5つのタイプについて、より詳しく知りたい方は、
それぞれのタイプを詳しく解説し、例をあげてその典型的な言動や対処法、そしてターゲットが受ける影響について、わかりやすく解説します。
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あなたが健やかな明るい未来へ向かいますように。
NPDサバイバー回復コーチ
堂前宏美
References:
Crystal Raypole, "10 Signs of Covert Narcissism" Healthline, 2024
Eric Patterson, "Covert Narcissists: Traits, Signs, & How to Deal With One" Choosing Therapy, 2024
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