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サイレントトリートメントー沈黙の虐待

更新日:5月5日




自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の人との関係でしばしば用いられる「サイレントトリートメント」というものがあります。


サイレントとは、"静かな""沈黙の"などの意味。つまり、沈黙することや無視することにより、ターゲットを心理的に追い込むやり方です。


例えば、電話に出ない、メッセージの返事を返さない。又は、話しかけても無視をする、ため息や表情などで不機嫌を表し言葉で表現してくれない、自分が何か要求したい時だけ話すがその他は会話に応じない、など。あるいは、他の人とは楽しそうに話すのにターゲットにだけ冷たくする、など、様々な形をとって用いられます。


NPDの人がサイレントトリートメントを行う時、その裏には様々な目的があります。


まずは、ターゲットの自尊心を下げて自分が優位に立つため。NPDの人は自分が一番素晴らしいと思っているので、ターゲットより自分が劣るはずがないと思っています。なのでターゲットが自分よりも何かに秀でていたり、優位に立ちそうになると、あわててターゲットを下げようとします。無視や軽視などをされ続けたターゲットは、自分が何か悪いことをしたのではないか、と思わされ自分の価値に自信が持てなくなります。このように自尊心を奪って支配することが目的です。


それから、自分にターゲットを依存させるためにも行われます。無視をされたり電話に出ないといった事が続くと、ターゲットは必死に連絡を取ろうとするでしょう。何度も電話をしたりメッセージをしたり、時には突然家で待ち伏せしたり、というところまで追いつめられる事もあります。そのようにターゲットを自分に依存させることにより、ますますコントロールをしやすくします。


又は、ターゲットをわざと怒らせたり、何か自分の気に入らない事をした際の罰として、サイレントトリートメントが行われることもあります。そうすることにより、本当は自分に何か非があったり、話し合わなければならない事があっても、そこからターゲットの関心をそらすことができます。例えば、ターゲットがNPDの人の暴言などに抗議をし、話し合いをしようとしても、不機嫌な態度で会話に応じなかったり無視をすることで、ターゲットはどんどん不安になったり落ち込んだり、自分の価値を疑ったり、ということに注意をとられ、本来の問題であった「NPDの人の暴言」から関心を逸らされてしまうのです。NPDの人はサイレントトリートメントにより、まるでターゲットに非があるように振舞い、責任転嫁をしているのです。


もしも、あなたがサイレントトリートメントをされているのではないか、と感じたら、NPDとサイレントトリートメントについて、まずは調べましょう。自分がされていることは何か、相手がしていることは何なのか、知ることでまず、自分が置かれている状況を客観的に見てみましょう。


そして、相手の作戦にのらないことです。無視し続ける事により、あなたが困って自分にすがってくることを相手は望んでいます。何度も電話をしたり、メッセージを送ったり、又は黙ってないで話を聞いてよ、などと懇願することは、まさに相手が望んでいること。そのようなことはせず、静観してください。


思うようにあなたの反応が得られないと激昂したり暴力的になるなど、態度が急変したり身の危険を感じたら、まずはあなたの身の安全を第一に優先しましょう。その場ではなるべく刺激せずに逃げたり距離をとるなどして、身近な信頼できる人や支援機関にサポートを求めてください。


サイレントトリートメントは、心理的虐待です。単に少し機嫌が悪いとか、自分にも悪いところがあったのでは、とか、相手の立場に立ちすぎる必要はないのです。


これは虐待であり自分は虐待にあっている、と認識しましょう。誰かと関係を築くということは、あなたが我慢したり犠牲になる上で成り立つ、というものでは本来ありません。


円滑なコミュニケーションやお互いを尊重し合う、そんな健やかな関係を築ける人と、一緒にいる権利があなたにはある。


虐待する人に我慢しなくていい。


自分の心が健やかでいられる、そんな人とかけがえのない関係を築いていってください。



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References:


Maggie Holland, "Narcissistic Silent Treatment: What It Is, Tactics, &How to Deal With It" 2023, Choosing Therapy


Marissa Moore, “Narcissists and Silent Treatment Abuse” 2024, PsychCentral




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