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自己愛性パーソナリティ障害(NPD)とのトラウマボンド②原因と対策

更新日:3月22日

自己愛性パーソナリティ障害とのトラウマボンド

前回のブログ「自己愛性パーソナリティ障害(NPD)との間に生まれるトラウマボンドって何?」では、自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の人とターゲットの間に生まれる「トラウマボンド」とは何かをお話しました。

 

第二回の今日は、なぜ自己愛性パーソナリティ障害(NPD)とのトラウマボンドが生まれてしまうのか被害者の傾向と、対策についてお話します。

 

トラウマボンドとは、加害者からターゲットにされた被害者が、その虐待の過程で加害者に対して抱く心理的な強い結びつきのことです。

 

それは様々な原因によって生じます。

 

・パワーバランス

加害者が力を持ち被害者をコントロールすることにより、被害者は心理的に支配されていきます。そのうちに自分の生活や人生が加害者の手の中にあるように感じ、加害者への依存心が生まれていきます。脅迫や支配により恐怖心を植え付けられ逃げられなくなり、そのような環境で生き延びるために加害者に依存し心理的な結びつきを生じます。また、被害者が他の人間関係から一切切り離されることで、頼れるのが加害者だけとなり、依存が強まります。

 

・虐待のサイクル 

理想化、脱価値化、棄却のサイクルを繰り返すことで、被害者は心理的にコントロールされます。冷酷な言動や虐待の合間に、優しさをたまに示されることで間欠強化が生じ、被害者は加害者に対し感謝や愛情が芽生え、依存や執着をするようになります。両者の間に不健全な愛着が生まれて、被害者にとって危険な環境にも関わらず、加害者との関係にとどまろうという心理が働きます。

 

・被害者のリスクファクター

被害者が幼少期や過去に虐待を経験したりトラウマを持っている場合、トラウマボンドが生まれやすくなります。自己肯定感が低かったり、自己否定の気持ちが強いと、精神的に不安定になり自分を認めてくれる人を求めます。加害者のたまに見せる優しさや承認が自分の価値を肯定することに繋がり、加害者に対して心理的な結びつきが強まってしまいます。特にほかに頼る人がいないなど、孤独な環境においてそのリスクは高まります。

 

トラウマボンドが形成されると、被害者の心理に大きな傷を与え、それが長期に渡って影響する場合があります。自己肯定感がますます低くなってしまったり、精神的に不安定になりやすく、他者を信頼することが難しくなったりします。

 

PTSDになってしまう場合もあり、他にも精神的・身体的な健康の問題を生じることもあります。異常な環境で生き延びるために解離症状が生じたり、うつ病などを発症する原因にもなります。

 

また、加害者と間のトラウマボンドという不健全な愛着スタイルに長くいた場合、他者と健全な人間関係や愛着を形成することが難しくなったりします。

 

 それでは、このトラウマボンドから抜け出すには一体どうしたら良いのでしょうか。

 

まず最初に一番重要なことは、トラウマボンドについて知り、理解することです。自分が陥っている状況が健全ではなく、不健全な結びつきであり、自分は虐待にあっているのだ、と認識することが大切です。

 

そして、自分ひとりで何とかしようとせず、助けを求めましょう。本当に信頼できる人や、医師や心理士などの専門家、それから支援機関などに相談するのも良いでしょう。いずれも、虐待、NPD、トラウマボンドについての知識と理解がある人を頼ることが重要です。特に加害者と離れようとする時に自分の身に危険が及ぶ可能性がある場合には、しかるべき支援機関、場合によっては警察などに相談して安全に離れられる計画をたてましょう。

 

加害者と離れたあとは、一切の連絡を絶ちましょう。たった一言のメッセージや電話でも、傷がぶりかえし加害者に対しての情が再度生まれる原因となります。傷ついた自分を癒すことに集中してください。そして、自分を責めないこと。被害者であったあなたは悪くないのです。自分をいたわり、ケアをする時間を十分にとってください。

 

そして、自分の心が落ち着いて、自分自身のことを冷静に振り返ることができるようになった時、自分のこれまでの人生、生き方、考え方、人間関係の築き方のパターンを振り返って認識することで、健全な人間関係を築く手がかりを得ましょう。

 

日記を書いて冷静に客観的に振り返ることも効果的です。

 

しかし、これは自分が十分に傷から回復し、安全に自分を振り返れるようになってから行ってください。フラッシュバックなど、つらい記憶がぶりかえしてくるなどの状態で無理に行うのは危険です。

 

カウンセラーなどの専門家につながり、適切な時期や対処法などを、自分の心身の安全を守りながらする適切な方法を相談してください。



*「トラウマボンド」についてXスペースでお話しました。リスナー様からの質問にもお答えしています。聴いてみたい方はこちら



*トラウマボンドのターゲットにされてしまう人は、幼少期の親との関係(愛着スタイル)や養育環境に深く影響を受けています。


このような愛着スタイルについてもっと深く知りたい方は、



各スタイルの特徴や形成される背景など詳しく解説しています。自分のスタイルを知るテスト付きです。きっと回復の手がかりがみつかると思います。



あなたが健やかな明るい未来へ向かいますように。

 

NPDサバイバー回復コーチ

堂前宏美


 

References:

Shirley Porter, "Trauma Bonding: Definition, Sign, & How to Break One?" Choosing Therapy, 2024


Kaytee Gillis, "16 Signs of Narcissistic Abuse & Victim Syndrome" Choosing Therapy, 2024

 

Shahida Arabi, "Power-Surviving&Thriving After Narcissistic Abuse" 2017, Thoughts Catalog Book

댓글


森の木

下記の内容に当てはまる場合は
「自己愛性パーソナリティ障害(NPD)」の可能性があります

相手の言動で以下のパターンに当てはまることはありませんか?

もしあてはまるなら相手は「自己愛性パーソナリティ障害(NPD)」の可能性があります。

  • ​あなたとの関係に第三者を持ち込もうとする(元恋人、他の友人、他の同僚など)

  • あなたが傷つくようなことをしたり言ったりした事を覚えていない、又は本気でなかった/冗談だったなどとごまかす

  • 冷たい態度をとった後、非常に優しくなる

  • 別れても友達でいようなどと言って関係を保とうとする

もしあなたが相手のこのような言動に傷つき悩んでいるなら

まずはあなたの頭の中でこんがらがってしまった糸を少しずつほぐしていきましょう

 

自分に一体何が起きているのか 相手との関係に何が起きているのか

だんだんとそれが見えてきます

やがてはっきりとクリアに理解した時

初めてあなたは自分にとってベストな選択ができるようになる

私がそのお手伝いをします

 

自由な心を取り戻して​ より良い自分の未来へと進んでいきましょう​​​

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