自己愛性パーソナリティ障害(NPD)との間に生まれるトラウマボンドって何?
- Aira-Life-Coaching
- 2024年9月26日
- 読了時間: 3分
更新日:3月22日

トラウマボンドとは、加害者からターゲットにされた被害者に、その虐待の過程で加害者に対して心理的な強い結びつきが生まれてしまうことです。
虐待されているという異常な環境で生き延び身を守るために、身に着けてしまう防衛反応です。被害者が自分の本当の感情を切り離し、加害者に対して情や恩などを感じるようになります。
自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の人との関係では、ターゲットの中でこのトラウマボンドを生じやすくなり、虐待されているにも関わらず、その関係にとどまってしまいます。
トラウマボンドの形成は、NPDとの関係で用いられる、理想化、脱価値化、棄却のサイクルを通しての心理操作によって行われます。
そして脱価値化や脱価値化の段階に入り、ガスライティングや三角関係化などの手法を巧みに用いて、ターゲットの自尊心を奪い、自己に対する信頼をゆらがします。そうすることでNPDの人の言うことを聞くようになるので心理的支配が容易になるのです。
この過程の途中で、ところどころ再び愛の爆弾やミラーリングを取り入れることで、間欠強化を用います。
すると、ターゲットは自分に自信を失い、自分の価値や感情を疑うようになり、NPDの人に対する依存を強めます。スミアキャンペーンなどで他の人間関係から孤立させている場合が多く、ますます自分に対する依存を強くし、支配とコントロールを強固なものにしていきます。
虐待の過程で自分の価値を疑うようになってしまったターゲットは、自分を承認してくれるソースがNPDの人だけになってしまいます。たまに与えられる優しい言葉や態度を待ち望み、それ以外で自分を認めることができなくなってしまい、トラウマボンドが生まれて、NPDの人から離れることができなくなってしまうのです。
トラウマボンドの症状は以下のものがあります。
・NPDの人への強い感情の結びつき
・NPDの人からの小さな親切への大きな感謝、喜び
・自分が虐待にあっていることを否定する
・NPDの人の要求を常に受け入れ賛同し応えようとする
・NPDの人から離れるようにアドバイスしてくる人を敵のように感じる
・NPDの人から離れたら、復讐されるのではと怯える
このような感情や言動が自分の中で心当たりがあれば、もしかしたらそれは健全な結びつきではなく、トラウマボンドかもしれません。
*「トラウマボンド」についてXスペースでお話しました。リスナー様からの質問にもお答えしています。聴いてみたい方はこちら
*トラウマボンドのターゲットにされてしまう人は、幼少期の親との関係(愛着スタイル)や養育環境に深く影響を受けています。
このような愛着スタイルについてもっと深く知りたい方は、
動画講座「愛着スタイルと愛着障害」をご覧ください。
各スタイルの特徴や形成される背景など詳しく解説しています。自分のスタイルを知るテスト付きです。きっと回復の手がかりがみつかると思います。
次回のブログでは、なぜトラウマボンドが生まれてしまうのか被害者の傾向と、対策についてお話します。
あなたが健やかな明るい未来へ向かいますように。
NPDサバイバー回復コーチ
堂前宏美
References:
Shirley Porter, "Trauma Bonding: Definition, Sign, & How to Break One?" Choosing Therapy, 2024
Kaytee Gillis, "16 Signs of Narcissistic Abuse & Victim Syndrome" Choosing Therapy, 2024
Shahida Arabi, "Power-Surviving&Thriving After Narcissistic Abuse" 2017, Thoughts Catalog Book
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