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ミラーリング

更新日:5月5日


ミラーリングとは、相手の思考や行動、興味や趣味などを模倣する事により、相手との間に親密さと信頼を高めていく事です。


これは自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の人だけではなく、私達人間は子供の頃から自然にミラーリングをする事で周囲の人との関係を築き成長していきます。


長く一緒にいる人と喋り方が似てきたり、物事を共有するうちに同じ趣味を持ったりなど、大抵の人は経験しだ事があると思います。


ただ、NPDの人がこのミラーリングを使う時は、心から相手を尊重し共感して行う通常のミラーリングとは異なり、ターゲットを引きつけ偽りの信頼関係を築き、後に支配を強める為に行うものです。


主に①理想化の段階で用いられ、ターゲットを良く観察し、言動を真似たり、相手の言って欲しい事を言ったり、同じ趣味を装うなどして、相手を自分に引きつけます。特にターゲットが辛い事があったり落ち込んでいたり、または幼少期のトラウマで自己肯定感が低かったりする場合、このようなNPDのミラーリングにより強烈に惹きつけられてしまいます。自分の事を誰よりも理解して認めてくれる、と勘違いしてしまうのです。弱った心だと特に自己を肯定してくれる喜びで満たされてますます相手に惹きつけられ、この人は私の運命の人だ、とか出会うべきして会ったのだ、とかこの人に出逢うために今までの辛い経験があったのだ、とまで思ってしまうこともあります。


そして、NPDはターゲットの信頼を得て充分に相手を惹きつけた所で、次は②脱価値化の段階に入ります。今まであなたを理解して認めていたのに、だんだん逆の事を言ったりターゲットの価値を否定するような事を言ったりするようになります。これまでは誰よりも理解され絶対的に愛されていると思っていたのに、急に否定されることにより、ターゲットの一度高まった自己肯定感は揺らぎ始めます。そしてこのフェーズに入るとNPDの人はターゲットの弱った心につけ込むように、どんどん否定して相手の自信や存在意義までも壊してしまうのです。


つまり、初期の段階で用いられたミラーリングは、真実の共感や信頼から来るものではなく、ターゲットを支配しコントロールするために用いられるのです。


NPDの人はミラーリングすることによってターゲットを惹きつける事の他に、それによって自分も称賛され信頼される、というメリットがあります。NPDの特性の一つである、他者からの賞賛への渇望が、ミラーリングした相手から信頼を勝ち得る事で満たされるのです。


NPDはそもそもの特性として、他者への共感能力が著しく欠けているので、ミラーリングも通常の適切なものではなく、他者への興味から行うものではなく自分への利益が目的です。


あなたを誰よりも理解してくれているわけではない。


理解しているふりが上手いだけです。


人間関係の初期の段階で、極端に自分を褒めてきたり過剰に共感したり、あなたの事を知りたがり情報を得ようとしてくる、などの傾向が見られたら、恋人でも友情でも、注意が必要です。



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References:


Shahada Arabi, "Power-Surviving&Thriving After Narcissistic Abuse" 2017, Thoughts Catalog Books


Anna Dreschar, “What Is Mirroring And How Do Narcissists Use It To Manipulate Their Victims?” 2024, Simply Psychology





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