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三角関係化(トライアンギュレーションという手法)

更新日:6月7日




自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の方との関係で、特徴的なものに「三角関係化 (Triangulation)」があります。


自分と相手の他に、第三者を三角関係に取り込むことにより、相手を心理操作するものです。


典型的なのは、ターゲットの前の恋人を比べること。元カノ(彼)はこうしてくれたのに、君はしてくれないんだね、とか。前の恋人を理想化して思い出す傾向があり、それと比べて君は…と比較する。元恋人でなくても、他の友達や通りすがりの人などを誉めたりすることもあります。友人関係なら他の友人と比較したり、上司であれば他の部下のことをターゲットの前で称賛したりします。

 

逆に、第三者の悪口をターゲットに聞かせ、それに比べて君は素晴らしい、と誉めたりする場合もあります。とにかく第三者とのトライアングルにあなたを巻き込むのです。

 

そのように常に誰かと比べられていく内に、ターゲットはNPDの評価に一喜一憂するようになります。自分が誉められたら天に昇る気持ちになり、他の人を誉められると落ち込む。無意識に競争心をあおられて常に緊張状態にさせられ、ターゲットはますます相手の「承認」を求めるようになっていきます。相手から認められなければ自分に価値がない、というところまで追い詰められてしまう。

 

極端な上げ下げをされる事で振り回され、自分に自信が持てなくなり、相手に認めてもらえる事が唯一の自分の存在意義を確認する手段になってしまう。知らず知らずのうちに、そこまで心は支配されていきます。


自己愛性パーソナリティ障害の人と、なかなか離れられない理由がこれです。極端な上げ下げをされる事で振り回され、自分に自信が持てなくなり、相手に認めてもらえる事が唯一の自分の存在意義を確認する手段になってしまうのです。   


冷たくされると自分に価値がないと感じる。でもすごくほめてくれたり優しくされたり特別扱いされた記憶があるので、すがりついてしまう。そしてまた優しくされると安心し、再度冷たくされると、それが何かの間違いだ、本当は相手は私を大事に思ってくれているんだ、と再び認めてもらう事に必死になる。


周りから見てどんなにひどい人で、別れた方が良いと言われても、離れられないのは、そのように心がコントロールされているからです。


又、自己愛性パーソナリティ障害の人は、例え別れた後も、友達でいようなどと言って、完全に縁を切らずあなたとの関係を保とうとします。


新しい恋人に乗り換え、そちらの方が良いと言ってあなたを地獄に落とし去っていたのに、時間が経つと連絡してきて、その恋人の悪口を言ったりします。君の方が良かったなどと言う時もある。そうやって常に相手をトライアングルの中におく事で、別れた後もコントロールしようとするので、せっかく別れたのに又戻ってしまったり、本当は相手は私を一番に愛しているのではないかと、不安定な感情の渦から逃れる事ができなくなってしまうのです。


正常に判断ができる状態ではなくなり、また相手の元に戻って認めてもらいたいと思う。自分の価値をそうする事でしか感じる事ができなくなってしまうのです。


だから、周りの人は、なかなか別れられなかったり戻ってしまうのを見て、何を言っても無駄だとか、自分で選んでいるのだから自己責任だ、と思いがち。


実態はもっと複雑で、難しい問題です。


もしそのような状況にあなたがいるなら。


あなたは決して、誰かと比べられる存在じゃない。

誰と比べなくてもあなたはあなたであるだけで、素晴らしい価値があるのです。


それに気がついてください。


そして、別れる決心をしたのなら、連絡は絶対に断つこと。相手はどうにかして連絡してこようとします。そこでグッと堪えて、絶対に応じない事。


苦しいですが、踏ん張ってください。



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References:


Shahada Arabi, "Power-Surviving&Thriving After Narcissistic Abuse" 2017, Thoughts Catalog Books




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